第三回公演
へちむくかぞく
私はいわゆる父母兄弟といったまとまった家族がいません。
とても身軽な身の上なのですが、人生の手がかりのなさに途方にくれることも多いので、
親という強力なアンカーを持っている友人をうらやましく思います。
ザ・家族って感じのしがらみ、もめごと、愚痴などを聞いているとだいたい魅力的なことのように
聞こえます。
お母さんのウザい話!うらやましい!
しかし同時におそろしくもあります。
上京をあきらめて家業を継いだ子。ひとり親が心配で実家から離れられない子。
親の存在が人生を大きく左右するなんて!どんだけめんどくさいんだ!親!おそろしい!
先に死ぬくせに!とも思ってきました。
話を聞いてみると「自分からそうしてる」と言う。
大体が強制されたという意識はない。
なんだかそれもおそろしい。やさしい呪いのようだ。これはもう描くしかない。
この不思議な理屈の通らないコミニュティを。
私が演出していたらとても湿っぽくて粘着質なものになっていたでしょう。
チャーハンさんの手によって、ドライで諦念した田舎の葬式感がうまく出たのだと思います。
そうだ、忌中なんて非日常、テンション高いよな。
どうぞ、初七日までを私たちと共に迎えてください。
【当日パンフレット主催挨拶より抜粋】
【あらすじ】
舞台は田舎の小さな港町の元スナック。数年前に店をたたみ今はもう夜の色香のかけらもなく、
家庭が侵食してきている。
長年ここを営んできた富澤家の母、三江が急逝して3日がたった。
その母がいなくなった今、元『スナックみつ江』とお互いにへち(そっぽ)をむいた家族三人が残された。
そこへ三江を訪ねてきた「理恵」。
理恵が語る「三江」は、家族の知る「三江」とはまるで違っていた
前代未聞のマイナー方言「幡多弁」を使用し、
家族という「がわ」だけが残された富澤家の初七日までを描く。
【日程/会場】2019年11月14日(木)~17日(日) 全5ステージ
in→dependent theater1st
【脚本】竹田モモコ 【演出】チャーハン・ラモーン
【出演】中道裕子、隈本晃俊(未来探偵社)澤村喜一郎(ニットキャップシアター)、
泥谷将(Micro To Macro)、東千紗都(匿名劇壇)、竹田モモコ
舞台写真 ©️horikawa takashi